COLUMN「ストーブのある暮らしと薪しごと」
北の住まい設計社では、ストーブを設置してくださったお客様に、 家具を作る工場から出る端材を薪にしてストックしておいたものを、シーズンになると販売しています。 端材の薪なので、丸太のかたちではなく、 どちらかといえば四角い積み木のようなかたちで薪、というイメージではありませんが… 端材の薪の良いところは、よく乾燥しているので、ススが出にくいこと、 防腐剤など使用していない木材なので、燃した煙も安全であること、いろんな無垢の木の香りが楽しめること。 家を建てる仕事が増えるとともに、購入してくださるお客様の数も増えています。 端材も無駄なく使われることは、資源を大切に使うことにもなります。 一方で、手仕事を大切につくる家具の工場から出る端材は、 1年で出る数に限界があり、供給が十分にできなくなることもあります。 お客様によっては、丸太を手に入れ、薪を割って蓄えられる方もいらっしゃいます。 丸太はカラマツなどの針葉樹だったり、ナラやサクラなどの広葉樹と種類は多様です。 丸太の薪は、燃えカスやタールの発生が家具の端材よりも多くなりやすいですが、 逆に、水分が多いことで火が長持ちすること(ゆっくり燃える)、なにより見た目がよく、観賞の楽しみが増えます。 丸太から良い薪をつくるには、切って、割って、積んで、乾燥させて… と梅干をつくる時のように手間がかかる“梅しごと”ならぬ“薪しごと”。 ストーブを使用されているお客様の様子と、薪しごとに欠かせない、薪の保管場所のアイデアをいくつかご紹介します。 text:Kokita 1.徳島県「薪割りからご自分の手で」 四国・徳島で建てられ、薪ストーブを楽しまれているYさん。 お話を聞きたいと連絡したところ、お便りをいただきましたので、ご紹介します。 使用している薪については、種類はさまざまです。佐那河内村(さなごうちむら)という村の製材所の方に広葉樹を切ってきてもらい、購入しています。徳島だと一冬4tもあれば、十分です。これらの広葉樹(製材所の言葉では、雑木)は、杉などと違って、お金にならないはずの木です。ですが、森を利用していくためには、切らなければならない広葉樹もあるわけですので、それをありがたく利用させていただいています。 北の住まいの家の断熱性能が高いので、徳島だと、まったく暖房は使用していません。森があって、木が手に入る環境ならば、カーボンニュートラルである、薪ストーブは最高の暖房ではないでしょうか?気に入っているところは、ストーブ内での料理です。ピザを焼くこともあるし、簡単なのは、熾き火にしておいて、焼き肉をしています。不満な点は、ストーブの機種です。ここまでストーブにはまるのであれば、もっと大きな薪(現在のConturaは最大長35cm)の入るもの、ストーブトップで料理のできる機種にしたほうがよかったかな、と考えています。何年後かに、機種変更(携帯みたいに簡単ではないけど)、してみたいなと妄想しています。 2.長野県「お店のディスプレイも兼ねて…」 美容室とご自宅を建てられたSさん。ご両親などからもらったりして手に入れた薪を、お店の前に設置した小さな屋根の下に、ディスプレイも兼ねて積んでいらっしゃいます。薪ストーブの他にはない温かみが、何よりのお気に入りとのこと。 3.愛知県「奥行きのある薪小屋」 物置を兼ねた薪小屋。撮影時には建築現場から出た端材がたくさん積まれています。奥行きのある薪小屋に現した梁には、ご近所の方にいただいたというたまねぎも吊るされていました。 4.北海道「東川の森に建つ家」 森の中を切り開いて建てられたご自宅。丸太を積んで、乾燥したら割って、と手間をかけて楽しまれています。手が足りないときは、ご両親も手伝いに来てくれるとか…これだけ大きな薪小屋にたっぷり入る薪も、東川の地では一冬でほとんど使われるようです。 5.北海道「旭川・雑木林の中に建つ家」 旭川の雑木林の中に建てられた細長い敷地に建つ家。今年は美瑛で切り出されたカラマツ材を、2年ほど乾燥した割られた状態の薪と道産のミズナラの材を割られた薪をお知り合いの方からご購入。北の住まいの薪もご使用になられています。