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家具 北の住まい設計社
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北海道の自然をまるごと家具に…
道産の広葉樹を使った手仕事でつくる小物たち
四季の移り変わり、自然を受け入れ感謝しつつ楽しむ暮らし、質素だけれど豊かな暮らし。私たちはモノやコトを通じて表現したいと考えています。

3月 2023

自然と調和し、人の生活を豊かにする製品づくりを目指すYAMAtuneと、地球環境に負荷をかけないものづくりを追求する北の住まい設計社/建築研究社が綴る、ショップオープンまでのストーリー。  前回までのDesign Stories 【DESIGN STORIES VOL.1 】工事の概要と完成予想パース 【DESIGN STORIES VOL.2 】YAMAtuneが北の住まいに依頼するに至った理由ときっかけ 【Design Stories Vol.3 】デザインのプロセスと考え方① -プランの変遷とYAMAtuneの英断- 第4話目の今回は、デザインをまとめ上げていく過程で大切にしてきた想いや、 使う素材についての北の住まいの考えをご紹介できればと思います。 「お店の顔」 「最後に立ち寄るレジカウンターで、温かい気持ちになって帰っていただきたい。」 YAMAtuneさんが大切にしている想いの一つです。お店の顔とも言えるレジカウンターは、特に慎重に検討を重ねたところ。想いを形にして表現するために、お客様とスタッフの距離感や使い易さ、素材や色味、納得のいくまで何度も打合せを重ねました。 レジカウンターの完成イメージ。「自然との調和」を信条とするYAMAtuneさんにふさわしい、自然の力強さが表れたカウンター。(画像はイメージパースです。実際の仕上がりとは一部異なる部分もあります。) 天板の納まりを打ち合わせしている様子。意匠的に重要なポイントのため、代表が自ら現場に行き、大工さんと打ち合わせをします。 天板には北海道産ニレの無垢材を採用。倉庫の中で出番を待っていた貴重な大きな板を使い、天板を仕立てました。スタッフ側は商品である衣類を畳む時に傷つかないようまっすぐ仕上げ、お客様側は耳を残して自然の形を生かしています。耳を残す理由は意匠としての意味だけではなく、木を無駄なく使いたいという想いから。 私たちは解体現場から出た古材や、買い手のいない木材など、ゴミになってしまう木材を出来るだけ買い取って、その時が来るまで大切に保管をしています。それは弊社代表・渡邊の、木に対する愛の深さからはじまったこと。そして今回のニレは、お店の顔とも言えるレジカウンターで日の目を見る事ができました。  東川の石 天板の下には「東川の石」を使うことに。石は一つ一つの大きさ・形が異なるため実際に並べてみて天板との関係を見ながら収まりを検討しています。以下は、その石についての代表の想いです。  「東川の石」  東川町に産する天然石を使いたい。この石は東川の開村以後、農地を開拓するため取除く必要から田畑の隅に放置されてきたものでおそらく70年位の時を経過したであろうと推測されますが、非常に硬く重い石です。しかし天然の物質である石を好む私たちにとっては表舞台で堂々と居座ってもらいたいと。石は無言ですからなおのこと。 誰かには要らないものでも、その魅力を生かせる場所はある。「東川の石」は私たちにとって欠かせないものとなりました。 外構工事・庭づくりを主に手掛ける職人が、ひとつひとつバランスを見極めながら。 石材として用意されたものを手に入れることは簡単ですが、近くで採れるものを使うというのが、本来の自然な形ではないでしょうか。そのような想いで、家具作りも北海道産の木だけを使っています。そして「その土地にあるものを使いたい」という想いはYAMAtuneさんも同じでした。レジカウンターは、そこにお客様や商品を大切にする想いが重なり、生まれた形。ご来店される際には、ぜひ注目していただきたいポイントです。 北海道産の広葉樹 ここまでショップ棟のレジカウンターのご紹介をしましたが、他にも北の住まい設計社の工場で製作した造作物が数多くあります。商品を陳列する什器はもちろん、カフェのカウンターテーブルやショーケース、階段板や手すり、ドア、床材、各種棚板類や細かなパーツ…。家具職人の技術を生かし、木で作れるものはほぼ全てと言っていいほど自社で製作しています。建築(店舗)設計・デザインから、造作家具や置き家具、インテリアの設え、庭づくりまでワンストップでご提案できることが、私たちの一番の強みです。 そしてこれらの造作物には、北海道産のさまざまな種類の木が使われています。 そこにも、大切にしたい考え方があります。  ショップ棟の階段板には、比較的幅広の材が手に入りやすいタモを使用。贅沢に一枚板で、しっかりとした厚みもあり、安心感があります。 建具はカバで。散孔材なので木目の主張が穏やかで、悪目立ちしません。 「木材の選定について」 私は木の種類に関しての考えは、2つの分類を大切にしています。1つは針葉樹、1つは広葉樹。今回は広葉樹について。学問としての分析ではありません。目で見て感じる事を述べますと、広葉樹は木理(木目などの模様)が複雑であり、それはおそらく育った環境、土、風、気温、雨といった自然現象に影響を受けて個性が出ているのであろうと思っています。 私は北海道の木で家や家具を作る事に決めたとき幸いにも鈴木木材の鈴木社長の人間的魅力に共感し、この人にお願いしようと決めました。本当に深く木を愛し、森を愛している人です。従って北海道の広葉樹であれば木の種類など小さな問題でありもっと木を好きになるなら、樹種を語るのは小さな事であるという想いになってきたのです。木を知ることになって、人間のエゴとか欲とかすべてを空にしてみたいともっと自然の恵みの良さを愛でる気持ちを大切にしてみて欲しいと思うようになったためです。今はこの考え方を理解していただいている方々が多くなっているように思っていますし、そう願ってもいます。それが次の世代の人に対してのメッセージとして届けられたら嬉しい限りです。次の世代の人達が生き続けてゆける星である事を願って。 例えば、椅子を探していて「今使っているテーブルに樹種を合わせないといけない」と固定観念的に思っている方も時々いらっしゃいます。 もちろんそれも一つの正解ですが、私たちが目指しているのは、画一的な調和ではなく、自然な調和です。空間の仕上げ全てが同じ木ばかりでは、メリハリがなく、単調な空間になることは想像に難くないはずです。(極端ですが)そうではなく、色の濃い木や薄い木、時には着色もうまく使い、異素材も織り混ぜ、メリハリをつけながら、全体としてのバランスを探っていきたい。YAMAtuneさんの店舗では、ミズナラ、イタヤカエデをはじめ、カバ、ニレ、クリ、タモ、オニグルミなど(全て北海道産木材)を使用し、タイルやレンガ、塗りつぶしの塗装も織り混ぜて、全体の調和を図っています。天然林では様々な種類の木が共生しながら一つの情景を作っているように、生き生きとした、自然な調和を目指しています。  レジカウンター天板と壁がぶつかるところの形状を検討中。「神は細部に宿る」という有名な言葉もありますが、こういうところの仕上がりを吟味することが、全体の質の向上につながると考えています。  今後の更新予定 1月27日 (金) 工事の概要と完成予想パース2月17日 (金) YAMAtuneが北の住まいに依頼するに至った理由ときっかけ3月10日 (金) デザインのプロセスと考え方① ープランの変遷とYAMAtuneの英断ー3月31日 (金) デザインのプロセスと考え方② ー大切にした想いと細部のデザインー(この記事)4月21日 (金) 施工のプロセスと職人の手仕事 5月12日 (金) 店舗紹介と店内完成イメージ6月2日   (金) 竣工写真と庭を含めた完成イメージ6月9日   (金) いよいよ明日オープン!店内の様子と営業案内 次回の更新は4月21日(金)。これまで撮りためてきた、大工さんや家具職人の仕事ぶりをご紹介する予定です。 次回の投稿もお楽しみに。 *更新したら北の住まい設計社の公式Instagramでお知らせします。見逃さないよう、フォローもお願いします! @kitanosumaisekkeisha_factory