旭川の古い住宅街に建つ築35年の住宅を時間を掛けて再生させて頂きました。寒かったであろうこの住宅は、そのおかげか構造の松材は結露で腐敗する事なく良い状態で残っていました。そこで全体の80%近くは、元々のフレームを組み替えて使用しています。通算で100年住宅にはなって欲しいと願いながら、長い年月の使用に耐えられる素材の選択とデザイン、そして機能を組み込みました。
施主様とは、こちらの土地・建物に出会うまでに数年という時間が掛かりましたが、その間に完成していった住宅を見学して頂いたり、土地探しをご一緒させて頂くたびに沢山のお話合いも出来ていたため、価値観やイメージを共有出来るようになっており、実際のお打合せ時には暮らしに寄り添ったご提案をさせて頂くことができました。住宅街にあるため限られた敷地スペースではありますが、カーポートや小さな畑も作りたいということ。小さなお子さんがリビングで遊んでいる様子をいつでも気に掛けられる家事導線に…という施主様からのリクエストも活かされています。既存の基礎や使える構造材を活かしながらも断熱と気密は新築同様のクオリティに。昔の家屋によく見られたレイアウトから広いリビングや水回り、ご家族のプライベートスペースもゆったりと確保しています。道路から玄関までのアプローチにカーポートを設置し、カーポート内を通って住宅に入れるように。また、カーポート内に物置を作り冬場でも除雪をせずに物置を使えるように動線を一本化しました。
北海道旭川市 M邸
- 竣工 : 2016年
- 家族構成 : 4人
- 延床面積 : 改修後148.99m²
- 構造材 : 既存の構造材、増設部分北海道産エゾマツ、トドマツ(手刻み)
- 外装 : 道南杉(ウッドロングエコ)
- 屋根 : ガルバリウム鋼板 長尺縦葺き